“NATURE OF CODE” in Houdini – 001 – ベクトル

長い間、仕事ではパイプライン系ツールを書くことが多くなり、幾何学や物理などの数学とはだいぶ疎遠になってしまいました。

最近になって、やっとHoudiniを業務で使用させてもらえる環境が与えられたこともあり、これも良い機会ということで、これからしばらくの間、数学の勉強や復習とリハビリを兼ね、Processingの名著 [NATURE OF CODE] の内容を、Houdiniを使って追いかけていきたいと思います。




1.1 ベクトルなしでは始まらない

・バウンドするボール

ポイントの速度と移動可能な範囲を指定。
ポイントは毎フレームで指定した速度に相当する距離移動し、範囲外に出た時に速度を反転させる。
上図では、Trail SOPとCopy SOPで軌跡を見やすくしている。

ベクトルクラスを使わないので、まとめて計算ができず、とても面倒。


1.2 Processing プログラマのためのベクトル

PVectorクラスで速度と可動範囲を定義。
Houdini上では、速度と可動範囲をベクター型の変数で置き換えた。
ついでに、3D上で動くようにした。

ベクトルクラスを使うと複数の値をまとめて計算できるようになりとても楽です。

※ベクトルの計算についてはあまりにも基本的すぎるので時短のため詳細は省きます


1.3 ベクトル加算

ベクトル同士の加算。
ProcessingでのPVector.add()を解説。


1.4 その他のベクトル演算

ベクトルクラスのメンバメソッドの解説。
Processingでは変数型にメンバメソッドが含まれる。
Houdiniでは、VEX関数を用いて同様の処理を行う。

  • ベクトルクラスのメソッド
    add(),sub(),mag(),normalize()など
  • ベクトル減算
    ベクトル同士の減算を解説。
    ProcessingでのPVector.sub()を解説。
  • ベクトル乗算(除算も)
    ベクトルとスカラーの乗除算の解説
    ProcessingでのPVector.mult()とPVector.div()を解説。


1.5 ベクトルの大きさ

ベクトルの長さはピタゴラスの定理で求める。
ProcessingでのPVector.mag()を解説。


1.6 ベクトルの正規化

ベクトルを単位ベクトルにする。
ProcessingでのPVector.normalize()を解説。


1.7 ベクトル運動:速度

速度は位置に影響を与える。
Moverクラスを定義する。

  • Moverオブジェクトはどのようなデータを持つか
    位置、速度など
  • Moverオブジェクトはどのような機能を持つか
    動く、表示する

※ここでは、Houdini標準アトリビュートの@vや@forceなどを使わず、独自のアトリビュートを用いて、最初から自前で計算します。ただし、@Pは計算結果を代入するために使います。

・コンストラクタを定義する

正しいかわからないけど、Houdinide オブジェクトをクラスととらえた時、そのオブジェクトの動作の核心は内部に含まれるSolver SOPのように見える。
Houdiniオブジェクトのコンストラクタ処理の内容は、Solver SOPの上流にあるすべての要素と言えそう。
コンストラクタの呼び出し(SolverSOPの上流にある処理)は、Solver SOPのStart Frameによって指定された時間に一度だけ行われ、キャッシュされて初期化される。

・動作を定義する

Houdiniオブジェクトが行う毎フレームの動作は、Solver SOPの中で定義する。
ある意味、Solver SOPは毎フレーム実行される関数であると考えて良いと思う。
今回作ったSolver SOP内では、現在のポイントの位置に加える変位を計算し、毎フレーム変異させる処理を行う。


1.8 ベクトル運動:加速度

加速度は速度に変化を与える。

加速度の各種アルゴリズム

  • 等加速度
    事前に加速度を設定し、変化させない。
  • 完全にランダムな加速度
    Solver SOPの中で加速度をnoise関数やRandom関数で変化させる。
  • マウスに向かう加速度
    Houdini上でマウスカーソルの3D座標が取れるかは謎なので、代わりに、特定のポイント位置へ向かう加速度を発生させるアルゴリズムで作ってみる。

速度に制限をかける

現実的に、速度が無限に高まることはないので、一定の速度を超えないように@velocityを抑制し、速度制限する。
下記のような感じ。

f@velocityLength = length(@velocity);

if( f@maxVelocity < f@velocityLength )
{
    vector normalVelocity = normalize(v@velocity);
    v@velocity = normalVelocity * f@maxVelocity;
}

@P += v@velocity;

 

1.9 static関数と非static関数

通常のプログラミングにおけるstaticメソッドに関する解説。
Houdiniオブジェクトはクラスっぽいけどクラスそのものではないので、再現できないとおもわれる。
とりあえずここは飛ばします。


1.10 加速度の対話的処理

加速度のターゲットと各Moverオブジェクトの距離に応じて加速度が変化するように設定。
結果、記事冒頭のムービーのように、なんとなく魚群風に見える映像が出来上がった。