“NATURE OF CODE” in Houdini – 002 – 力

長い間、仕事ではパイプライン系ツールを書くことが多くなり、幾何学や物理などの数学とはだいぶ疎遠になってしまいました。

最近になって、やっとHoudiniを業務で使用させてもらえる環境が与えられたこともあり、これも良い機会ということで、これからしばらくの間、数学の勉強や復習とリハビリを兼ね、Processingの名著 [NATURE OF CODE] の内容を、Houdiniを使って追いかけていきたいと思います。




 

■動画内容の御品書

  1. シンプルな力
    単純な力を与えて動かす。
  2. 力と質量
    質量を考慮しながらシンプルな力(重力+風)を与えて動かす。
    小さいものほど風の影響を受けやすく水平方向によく動く。
  3. 力と摩擦
    摩擦による減速。
  4. 力と流体抵抗
    Y=0の位置から流体があると仮定し、ポイントが抵抗を受ける。
    この流体の範囲に入った時、ポイントは赤くなります。
  5. 引力(固定アトラクタ)
    原点の位置に引力を発生するポイントを配置し固定。
    その他のポイントは原点のポイントと引き合う。
  6. 引力(ポイントの相互作用)
    各ポイントはそれぞれ相互に引き合う力を持っている。
    質量や引力の設定にもよるが、小さな塊ができ、それぞれの塊が引き合い徐々に大きな塊になっていく。(ポイント半径に合わせたコリジョンは設定していないので、実際には、塊は大きくなりません。)

2.0 Houdiniの単位系

Houdiniは標準的なSI単位を採用している。
https://www.sidefx.com/docs/houdini15.0/dyno/about
http://www.cranenet.or.jp/tisiki/si.html

2.1 力とニュートンの運動の法則

力とは、質量を持った物体に加速度を生じさせるベクトル。

・ニュートンの運動の第1法則(慣性)

静止している物体は静止状態を続け、運動している物体は不平衡力の影響を受けないかぎり、一定の速さで一定の方向へ運動を続ける。

・ニュートンの運動の第3法則(作用・反作用)

力は常に反作用が対になって生じ、その強さは等しく、向きは正反対である。

-F[N]

 押し合う物体の質量が違う場合や、接地面の摩擦力が違う場合、同じ力が加わってもそれぞれの物体が静止し続けるとは限らない。

2.2 力とProcessing

・ニュートンの運動の第2法則(運動方程式)

質量(m)に加速度(A)を掛けあわせると力(F)になる。

・重量と質量

  • 質量(m):物体内の物質の量[kg]
  • 重量(W):物体にかかる重力[N]
  • 密度(Density):単位体積(m^3)あたりの質量(kg)

2.3 力の積算

書籍では質量を1として計算し、F=Aとして簡単化する。

通常、物体にはいくつかの外力が同時に作用する。
そのような場合、全外力の合計値を使用する。
物体に働く力は、特殊な状況を除いて常に変化し、積算されないので、毎フレームで新たな値を計算して使用する。

windForceやgravityForceなどを追加してみる。

2.4 質量

先に計算された外力を質量で割ることで、各ポイントごとに設定された質量を考慮したシミュレーションが行われる。

2.5 力の作成

・力の作り方

  • 直接指定
    自由に直接指定する
  • シミュレーション
    物理公式などを利用し、計算する。

2.6 地球と重力と力のシミュレーション

この時点では、質量が小さいものほど重力の影響を強く受けるようになっている。
物体の落下速度は、その質量にかかわらず一定。
重力加速度の式から正しい加速度を求めて適用するため、重力に質量を掛けあわせてる。

2.7 摩擦

摩擦は散逸力(非保存力)。

※散逸は、抵抗力によって運動エネルギーを熱エネルギーに変換する現象。
散逸力とは、摩擦力などのエネルギーを減少し、別の力に変換させる力。
車のブレーキなどは運動エネルギーを熱エネルギーに変換。

・摩擦の種類

  • 静止摩擦
    接触面に対し静止している物体が受けている摩擦
  • 動摩擦
    動いている物体が接触面から受ける摩擦

摩擦の方向は速度方向の逆。

・摩擦の公式

・公式を使用する際のポイント

  • 右辺を計算し、左辺に代入する。
  • 変数がベクトルかスカラーかを見極める。
  • 記号が隣り合っている場合は乗算を表す。

■各項の意味

  • F friction:摩擦により働く力

  • μ:摩擦係数

    特定の表面上に生じる摩擦力の強さ。

  • N:垂直抗力
    物体が接触面から受ける反作用で接触面に対して垂直方向に物体を押し返す力。
    物体が接触面から受ける垂直抗力の大きさは物体の質量に比例する。
  • v:正規化済みの速度ベクトル
    式中の-1と掛けわせることで摩擦による力の発生する方向を取得する。
    この場合、速度ベクトルの真逆方向に摩擦力による力が発生する。

2.8 空気抵抗と流体抵抗

物体が空気や液体(流体)の中を通り抜けるとき、抵抗力が働く。
これは、粘性力(Viscous Force)や抗力(Drag Force)、流体抵抗(Fluid Resistance)などと呼ばれる。

・流体抵抗の公式

■各項の意味

  • F drag:流体を物体が通り抜ける際に働く抗力
  • 1/2:定数
  • ρ(rho):流体の密度
  • v^2:速度ベクトルの長さの2乗
  • A:進行方を向いている面の表面積
  • Cd:抗力係数、自由に決定する
  • v:正規化された速度ベクトル

2.9 重力

■重力の公式

■各項の意味

  • F gravity:重力
  • G:万有引力定数、独自の値を使っても面白い。
  • m1とm2:相互に作用する2つの物体が持つそれぞれの質量。
  • r:物体間の距離ベクトルを正規化したベクトル。物体同士が引き合う方向。
  • r^2:物体間の距離の2乗。
    物体同士が引き合う力は距離が長いほど弱くなり、近いほど強くなる。

2.10 相互引力と反発

2.9の計算を、各ポイント間で計算し、毎フレーム全ポイントの影響を合計して適用する。


何か間違いがあればツッコミをいただけると助かります。

“NATURE OF CODE” in Houdini – 001 – ベクトル

長い間、仕事ではパイプライン系ツールを書くことが多くなり、幾何学や物理などの数学とはだいぶ疎遠になってしまいました。

最近になって、やっとHoudiniを業務で使用させてもらえる環境が与えられたこともあり、これも良い機会ということで、これからしばらくの間、数学の勉強や復習とリハビリを兼ね、Processingの名著 [NATURE OF CODE] の内容を、Houdiniを使って追いかけていきたいと思います。




1.1 ベクトルなしでは始まらない

・バウンドするボール

ポイントの速度と移動可能な範囲を指定。
ポイントは毎フレームで指定した速度に相当する距離移動し、範囲外に出た時に速度を反転させる。
上図では、Trail SOPとCopy SOPで軌跡を見やすくしている。

ベクトルクラスを使わないので、まとめて計算ができず、とても面倒。


1.2 Processing プログラマのためのベクトル

PVectorクラスで速度と可動範囲を定義。
Houdini上では、速度と可動範囲をベクター型の変数で置き換えた。
ついでに、3D上で動くようにした。

ベクトルクラスを使うと複数の値をまとめて計算できるようになりとても楽です。

※ベクトルの計算についてはあまりにも基本的すぎるので時短のため詳細は省きます


1.3 ベクトル加算

ベクトル同士の加算。
ProcessingでのPVector.add()を解説。


1.4 その他のベクトル演算

ベクトルクラスのメンバメソッドの解説。
Processingでは変数型にメンバメソッドが含まれる。
Houdiniでは、VEX関数を用いて同様の処理を行う。

  • ベクトルクラスのメソッド
    add(),sub(),mag(),normalize()など
  • ベクトル減算
    ベクトル同士の減算を解説。
    ProcessingでのPVector.sub()を解説。
  • ベクトル乗算(除算も)
    ベクトルとスカラーの乗除算の解説
    ProcessingでのPVector.mult()とPVector.div()を解説。


1.5 ベクトルの大きさ

ベクトルの長さはピタゴラスの定理で求める。
ProcessingでのPVector.mag()を解説。


1.6 ベクトルの正規化

ベクトルを単位ベクトルにする。
ProcessingでのPVector.normalize()を解説。


1.7 ベクトル運動:速度

速度は位置に影響を与える。
Moverクラスを定義する。

  • Moverオブジェクトはどのようなデータを持つか
    位置、速度など
  • Moverオブジェクトはどのような機能を持つか
    動く、表示する

※ここでは、Houdini標準アトリビュートの@vや@forceなどを使わず、独自のアトリビュートを用いて、最初から自前で計算します。ただし、@Pは計算結果を代入するために使います。

・コンストラクタを定義する

正しいかわからないけど、Houdinide オブジェクトをクラスととらえた時、そのオブジェクトの動作の核心は内部に含まれるSolver SOPのように見える。
Houdiniオブジェクトのコンストラクタ処理の内容は、Solver SOPの上流にあるすべての要素と言えそう。
コンストラクタの呼び出し(SolverSOPの上流にある処理)は、Solver SOPのStart Frameによって指定された時間に一度だけ行われ、キャッシュされて初期化される。

・動作を定義する

Houdiniオブジェクトが行う毎フレームの動作は、Solver SOPの中で定義する。
ある意味、Solver SOPは毎フレーム実行される関数であると考えて良いと思う。
今回作ったSolver SOP内では、現在のポイントの位置に加える変位を計算し、毎フレーム変異させる処理を行う。


1.8 ベクトル運動:加速度

加速度は速度に変化を与える。

加速度の各種アルゴリズム

  • 等加速度
    事前に加速度を設定し、変化させない。
  • 完全にランダムな加速度
    Solver SOPの中で加速度をnoise関数やRandom関数で変化させる。
  • マウスに向かう加速度
    Houdini上でマウスカーソルの3D座標が取れるかは謎なので、代わりに、特定のポイント位置へ向かう加速度を発生させるアルゴリズムで作ってみる。

速度に制限をかける

現実的に、速度が無限に高まることはないので、一定の速度を超えないように@velocityを抑制し、速度制限する。
下記のような感じ。

f@velocityLength = length(@velocity);

if( f@maxVelocity < f@velocityLength )
{
    vector normalVelocity = normalize(v@velocity);
    v@velocity = normalVelocity * f@maxVelocity;
}

@P += v@velocity;

 

1.9 static関数と非static関数

通常のプログラミングにおけるstaticメソッドに関する解説。
Houdiniオブジェクトはクラスっぽいけどクラスそのものではないので、再現できないとおもわれる。
とりあえずここは飛ばします。


1.10 加速度の対話的処理

加速度のターゲットと各Moverオブジェクトの距離に応じて加速度が変化するように設定。
結果、記事冒頭のムービーのように、なんとなく魚群風に見える映像が出来上がった。

“NATURE OF CODE” in Houdini – 000 – はじめに

長い間、仕事ではパイプライン系ツールを書くことが多くなり、幾何学や物理などの数学とはだいぶ疎遠になってしまいました。

最近になって、やっとHoudiniを業務で使用させてもらえる環境が与えられたこともあり、これも良い機会ということで、これからしばらくの間、数学の勉強や復習とリハビリを兼ね、Processingの名著 [NATURE OF CODE] の内容を、Houdiniを使って追いかけていきたいと思います。



はじめに

I.1 ランダムウォーク

オブジェクトが累積的にランダムな方向に動く動作。


I.2 ランダム・ウォーカークラス

・ランダム・ウォーカークラスを定義

Houdiniでカスタムノードを定義することはクラスを定義することと言えそう。
ただし、現時点では継承等の仕組みがあるか不明なので、あくまでもクラスもどきの定義と解釈しています。

ここでは、まずSubnetをクラスとしてとらえつつ、その内部に、ランダムウォークする点群を複数含むオブジェクトを定義する。

・擬似ランダム値

一般的に、コンピュータ上で乱数を生成するランダム関数は実際には周期性があるので擬似的なランダム関数と言える。
ただし、周期が非常に長いため、実質的に真の乱数計算関数と言って差し支えない。


I.3 確率と一様分布(離散)

HoudiniでVEX関数のrandom()を使った場合、特定の値が出現する確率はほぼ一定。
具体例として、4種類の値を生成するランダム関数があるなら、それぞれの値が出現する確率はほぼ均等で約25%になる。

bandicam 2016-06-12 22-55-14-514

random()から出力される0~1のfloat値を0~9のint値にマッピング。
乱数を1200回発生させ、マッピング後の整数値に対応するIDを持つポイントをその都度+Y方向に移動した結果、多少のばらつきはあるものの、ほぼ均等な値が生成されていることがわかる。
このように、起こりうる結果がほぼ均等に現れる確率の分布を、一様分布と呼ぶ。
他の例としては下記のようなものもある。

  • コイントスの確率
    1/2 = 0.5 = 50%
  • 全トランプ52枚からA4枚のいずれかを引く確率
    4/52 = 0.077 = 約8%
  • 全トランプ52枚からダイヤのカード13枚のいずれかを引く確率
    13/52 = 0.25 = 25%
  • 1つのサイコロを振り、1の目が出る確率。
    1/6 = 0.166 = 約17%

・確率と非一様分布

bandicam 2016-06-12 22-55-21-874

一様分布の項で作成したランダム関数を2つ足しあわせ、値が出現する回数を計測してみる。
結果、グラフは中央値が高く、山なりになるのがわかる。

bandicam 2016-06-12 22-55-26-468

今度は、3つのランダム関数を使って同様の計算をしてみる。
より顕著に、山なりになる。

サイコロを3個振る場合を考えてみると理由は簡単。
合計値が最小の3または最大の18になるのは1または6のゾロ目の時のみで非常に確率が低いのに対し、合計値が中央付近の10になるケースはより多くの組み合わせが考えられる。

・乱数に偏りを持たせる

乱数を元に、予め用意された動作を選択する際、結果に偏りを持たせるには。

  1. 乱数を元に得たい結果がリストにまとめられているケース
    結果がリスト内に登場する回数を操作して確率に偏りを持たせる

    <<擬似コード>>
    results = [1,2,3,4,5] → [1,1,1,2,3,3,4,5,5,5]
  2. 乱数の値の範囲に応じて結果が決定するケース
    結果に対応する乱数の範囲を操作して偏りを持たせる

    <<擬似コード>>
    if random < 0.1:
        return 10
    elif random < 0.2:
        return 20
    else:
        return 30

I.4 ランダム値の正規分布(ガウス分布)

ランダムな要素が平均値付近に集中する確率分布を正規分布やガウス分布(Gaussian)、ラプラス分布(Laplacian)などと呼ぶ。

[参考サイト] NtRand – 正規分布
http://www.ntrand.com/jp/normal-distribution-single/

 例として、無作為に選んだ人々の身長の分布を考える。
百歩譲っていくら確率が0ではないと言っても、身長0.1cmの人や身長10mの人はそうそういない。
平均慎重と言われている165cm付近が最も多くなるはず。

・ベル型曲線

確率の平均[μ]と標準偏差[σ]により求められる、確率分布を表すグラフ。

  • 平均:μ
    起こりうる値の平均値。
  • 標準偏差:σ
    偏差とは、値と平均値の差。
    平均偏差は全偏差の平均。
    標準偏差は、分散の平均の平方根。(※分散は偏差の2乗)

・乱数の生成(random)

HoudiniにおけるVEX関数のrandom()は、0~1の範囲で一様分布の乱数を発生させる事ができる。(その他にも、3Dノイズなども出力できる)

・乱数の生成(noise)

HoudiniにおけるVEX関数のnoise()はシンプルなパーリンノイズ。
正規分布をもとに乱数を発生させる。
ループ中で新たなポイントを作成しながら乱数を発生させ、@P.xに与えていくと、各ポイントは下図のように配置されていく。

図では色が薄く見づらいが、μ=0.5、σ=1の正規分布で乱数が生成され、x=0.5の付近でより高密度にポイントが作成されていることがわかる。
※1マス=0.25


I.5 ランダム値のカスタム分布

  • 分岐条件を乱数をもとに判定(レヴィフライト風アルゴリズム)
    乱数の発生を一様分布でも正規分布でもない独自のものにしたい場合のテクニック。正規分布の乱数中で、時折「突発的」にレンジの大きな乱数を発生させたい場合は、現在の乱数生成の機会が「突発的」なものであるか判定し、突発的であると判断された場合、結果の範囲が大きな乱数を発生させるようにする。

    ## 擬似コード
    incident = random(1)
    if incident < 0.1:
        randValue = random(-100,100)
    else:
        randValue = random(-1,1)

    上の例では、incidentが0.1以下(10%)の確率でレンジの大きな乱数を生成している。

  • 出力が条件に適合するまで乱数の生成を試行する(モンテカルロ法風アルゴリズム)
    値が大きければ大きいほど選ばれやすくしたい場合のテクニック。
    乱数を2つ使い、片方がもう片方より大きかった場合に乱数を出力する。

    def montecarlo():
        while 1:
            r1 = random(0,1)
            r2 = random(0,1)
    
            if r1 <= r2:
                return r2

I.6 パーリンノイズ(よりスムーズな手法)

有機的なものの表現には、ランダム値の中にも連続性が必要になる。
その場合、ランダムかつ連続的に変化する値を出力するnoise関数を使用するとよい。
HoudiniのVEX関数 noise()は、正規分布に近い連続的でランダムな値を返すパーリンノイズ関数で、整数を与えるとすべて同じ値(0.5)を返すようになっているので、引数は極力整数値にしないように注意する。

## noise()の使用例
f@dx = fit(noise(@Time+(@ptnum*0.339)+offset),0,1,-1,1);

・疑問

Mayaの場合、noise()関数は周期性を感じさせない上に、出力される値も-1~1の範囲にきっちり収まるようになっている。
そのため、単純なフレーム番号を引数にするだけで延々と連続的なランダム値を生成し続け、その値を係数にして角度の変化などを計算する際、変化のレンジにただ掛け合わせるだけでよかった。

Houdiniのnoise()関数は、整数値を与えると全く同じ値が返る上に、結果が正規分布で得られるため、Mayaのnoise()関数と全く同じ感覚では使えない。

正規分布のおかげで結果を有機的にしやすい反面、変化幅の上下限をきっちり決めづらくとても気持ち悪く感じてしまう。(例えば毎フレーム何らかのオブジェクトの角度を変化させたい時、0~180度の角度範囲を上下限とし、-1~1の範囲の係数をかけて使いたい場合など)
もしかしてMayaのnoise()に近い関数があるんだろうか?(誰かご存知でしたら教えて下さい)

・パーリンノイズによるランダムウォーク

・2次元のノイズ

パーリンノイズは1~4次元の値を引数に取り、同様に1~4次元の値を出力できる。

・@Cdにnoise(x,y)の結果を適用
832

・@P.yにもnoise(x,y)の結果を適用

※わかりやすくするため、頂点数とカラーのレンジを調整済み


I.7 展望

この章では、自然現象をシミュレートする際に必要となる確率や乱数を学習した。
ランダム性を取り入れることで、より自然で複雑な要素を作成できる。
だがしかし、同じアルゴリズムにばかり頼ってしまうと結果的にパターンが透けて見えてしまい、結果が退屈な仕上がりになる場合もあるので、より多くの手法を身につけ、引き出しを増やし、様々なニーズに臨機応変に対応できるスキルを磨くことが大事。


[資料]

NtRand – 確率分布Navi

確率分布 Navi


http://www.ntrand.com/jp/gallary-of-distributions/


何か間違いなどあればツッコミいただけると喜びます。
よろしくお願いします。

MYAM_QuickSelector 途中経過

今年の1月末くらいに作り始めたのはいいものの、公私ともに忙しく、なかなか手がつけられなかったツール「MYAM_QuickSelector」が、このGWでだいぶ形になってきたので、途中経過を駆け足で記事にしてみます。

Qtは目的に到達するまでの手続きが多く面倒な部分も多いですが、慣れるて来るととても楽しいです。もうMaya標準のGUIライブラリは触れません。


■画面サンプル

bandicam 2016-05-08 22-32-34-391

好きな画像をツール上からキャプチャし、背景に置いた状態で好きなノードに対応するボタンを配置し、いつでも簡単に選択できるようになります。
選択できるアイテムはいわゆるDAGオブジェクトだけでなく、マテリアルなどのDGノードにも対応します。


■マルチプラットフォーム(DCCツール間)

bandicam 2016-05-08 23-10-05-047

Maya上でもHoudini上でも全く同様に動作します。(現在はMayaのみ対応ですが)
その他にも、最小限の拡張でPySideが使えるすべてのDCCツールに対応可能です。
DCCツールを変えた時にも、操作法が統一されていると覚え直す必要もなく楽です。


■キャプチャ機能

bandicam 2016-05-08 23-13-10-644

Bandicamのようにウインドウを使ってキャプチャ範囲を指定して、背景画像として取り込むことができます。


■セレクターボタンは任意の画像が使えます

bandicam 2016-05-08 23-12-43-450

ジョイントやコントロールリグなど、タイプごとに任意の画像をアイコンとして設定できます。
また、各アイコンのサイズも自由に変更できるため、よく使うコントローラを目立たせておくなど、視認性を高められます。
アイコン置き場フォルダに任意の画像を格納しておけば、自動的にツール内で使用できるようになります。


■その他

その他にも、配置したボタンの整列なども手軽に行なえます。


もう少し洗練して、早くリリースしたいなあ。

MYAM_genericSelector(仮名)を作り始めました

昔とある仕事場で作成した MYAM_quickSelector2 の後継ツールをQtで作り始めました。

前述のツールの機能に加え、足したい機能は大体以下の様な感じです

・オブジェクトアイコンに任意の画像が使用できる
・オブジェクトアイコンのサイズや形状を自由に変更できる
・Maya/MotionBuilder/Houdiniあたりで共通して使えるようにする
・選択オブジェクトのグループ登録/簡単選択

まだほとんど仮組みの状態ですが、完成したらCreative Crashあたりで公開すると思います。

MYAM_genericSelector_SS001

Ricoh THETA S でIBL画像を作成するためのスクリプトを書きました

簡易的なIBL用のHDRIを作成するため、素材になる天球マップ画像をRicoh THETA SをiPhoneで遠隔操作して手軽にオートブラケット撮影できるようにしてみました。

撮影方法は、ISOを固定しEVを変化させて行う露出ブラケット撮影になります。
今の所、使用する撮影モードではシャッタースピードを同時に操作できなそうなので、自動設定にしてあります。

THETA SはRAWデータでの撮影ができず、また撮影時に厳密なホワイトバランス設定などもできないので精度は落ちますが、簡易的に使用するにはそこそこ使えるHDRIが得られると思います。

iOSデバイスに限らず、THETA Sとネットワーク接続できるデバイスで、なおかつ標準的なPythonを実行できるなら同じように使用できるはずです。

というわけで、需要がありそうなのでソースコードを公開します。

時間の関係で良い作例の用意ができていませんが、そのうち貼りたいと思います。

・使い方

1:デバイスとTHETA Sをネットワーク接続接続します

2:下記スクリプトをデバイス内のPython実行環境で実行します
当方は、iPhone6S+上で iOS用のPython 2.7 というアプリを使用しています。

3:撮影されたJPEG画像をHDR ShopLuminance HDRなどを使ってHDRIにします

#******************************************************************************
'''
Tool Name     : MYAM_ThetaAutoBracket.py
Description   : 
Copyright     : (c) Yamabe Michiyoshi
Author Name   : Yamabe Michiyoshi
'''
#******************************************************************************

import httplib
import json
import time

# 
class ThetaSettings(object):
    # Full
    # evs = [-2.0, -1.7, -1.3, -1.0, -0.7, -0.3, 0.0, 0.3, 0.7, 1.0, 1.3, 1.7, 2.0]

    # Simple
    evs = [-2.0, -1.0, 0.0, 1.0, 2.0]

    exposureProgram = 9
    iso = 100
    whiteBalance = "auto"
    _shutterVolume = 50

    shutterInterval = 1

#
class Theta(object):
    def __init__(self):
        self.headers = {"Content-Type":"application/json", "Accept":"application/json"}

    # Auto Bracket
    def takePicturesByAutoBracket(self):

        print "--------------------"
        print "START AUTO BRACKET"
        print "--------------------"

        # Connect to THETA 
        connection = self.connect()

        # Start Session
        self.startSession(connection)

        # Get Session ID
        responseData = self.getResponseData(connection)
        sessionId = responseData["results"]["sessionId"]

        # Take Pictures
        for i in range(len(ThetaSettings.evs)):
            
            # Set options
            ev = ThetaSettings.evs[i]
            
            print "----------"
            print "%i / %i" % ((i + 1), len(ThetaSettings.evs))
            print "iso : %i" % ThetaSettings.iso
            print "EV  : %d" % ev

            picOpt = {"exposureProgram":ThetaSettings.exposureProgram,
                      "exposureCompensation":ev,
                      "iso":ThetaSettings.iso,
                      "whiteBalance":ThetaSettings.whiteBalance,
                      "_shutterVolume":ThetaSettings._shutterVolume}

            self.setOptions(connection, sessionId, optionParams=picOpt)
            responseData = self.getResponseData(connection)

            # Take Pictute
            self.takePicture(connection, sessionId)
            
            # Wait to finish idle time
            self.waitFinishCurrentCommand(connection, interval=ThetaSettings.shutterInterval)

        # Close Session
        self.closeSession(connection, sessionId)

        # Disconnect from THETA
        self.disconnect(connection)

        print "--------------------"
        print "FINISH AUTO BRACKET"
        print "--------------------"

    # HTTPConnection Control
    def connect(self):
        connection = httplib.HTTPConnection("192.168.1.1",80)
        return connection

    def disconnect(self,connection):
        connection.close()

    # Common Commands
    def postExecCommand(self,connection,params):
        connection.request("POST", "/osc/commands/execute", params, self.headers)

    def postStatusCommand(self, connection, commandId):
        params = json.dumps({ "id":commandId })
        connection.request("POST", "/osc/commands/status", params, self.headers)

    def waitFinishCurrentCommand(self, connection, interval=1):
        responseData = self.getResponseData(connection)
        commandId = responseData["id"]

        while True:
            self.postStatusCommand(connection, commandId)
            responseData = self.getResponseData(connection)
            commandStatus = responseData["state"]

            if "inProgress" == commandStatus:
                print "commandId [%s] : Processing..." % ( commandId )
                time.sleep(interval)
            else:
                print "commandId [%s] : Finish!" % ( commandId )
                break

    # Command Control
    def startSession(self, connection):
        params = json.dumps({ "name":"camera.startSession", "parameters":{} })
        self.postExecCommand(connection, params)

    def updateSession(self,connection,sessionId):
        params = json.dumps({ "name":"camera.updateSession", "parameters":{"sessionId":sessionId} })
        self.postExecCommand(connection, params)

    def closeSession(self, connection, sessionId):
        params = json.dumps({ "name":"camera.closeSession", "parameters":{"sessionId":sessionId} })
        self.postExecCommand(connection, params)

    def takePicture(self,connection , sessionId):
        params = json.dumps({ "name":"camera.takePicture", "parameters":{"sessionId":sessionId} })
        self.postExecCommand(connection, params)

    def setOptions(self, connection, sessionId, optionParams):
        params = { "name":"camera.setOptions" , "parameters":{"sessionId":sessionId, "options":{} } }

        for key , value in optionParams.items():
            params["parameters"]["options"][key] = value

        jsonParams = json.dumps(params)
        self.postExecCommand(connection, jsonParams )

    def getOptions(self, connection, sessionId, optionNames):
        params = { "name":"camera.setOptions" , "parameters":{"sessionId":sessionId, "optionNames":{} } }

        for key , value in optionParams.items():
            params["parameters"]["options"][key] = value

        jsonParams = json.dumps(params)
        self.postExecCommand(connection, jsonParams )

        self.postExecCommand(connection, params)

    # Support Functions
    def getResponseString(self,connection):
        response = connection.getresponse()
        responseString = response.read()
        return responseString

    def getResponseData(self,connection):
        responseString = self.getResponseString(connection)
        responseData = self.convertJSONToPythonData(responseString)
        return responseData

    def convertJSONToPythonData(self,jsonDataString):
        jsonDecoder = json.JSONDecoder()
        pythonData = jsonDecoder.decode(jsonDataString)
        return pythonData

    def convertPythonDataToJSON(self,pythonData):
        jsonEncoder = json.JSONEncoder()
        jsonDataString = jsonEncoder.encode(pythonData)
        return jsonDataString

def main():
    theta = Theta()
    theta.takePicturesByAutoBracket()

if __name__ == "__main__":
    main()

・設定

設定の変更を行うにはコードを直接書き換える必要があります。
撮影枚数は、ThetaSettingsの evs で指定されているEV値の数で指定されます。
撮影ごとにリスト内のEV値がそれぞれ使用されます。

・EV値と撮影枚数の設定

class ThetaSettings(object):
    # Full
    # evs = [-2.0, -1.7, -1.3, -1.0, -0.7, -0.3, 0.0, 0.3, 0.7, 1.0, 1.3, 1.7, 2.0]

    # Simple
    evs = [-2.0, -1.0, 0.0, 1.0, 2.0]

指定できるEV値は、上記の Full で指定されている13個の値になります。
THETA Sは一枚撮影するごとに内部処理に約8秒ほどかかるようなので、撮影枚数が多くなると時間がかかります。
必要に応じ、不要な値を削除するなどして調整してください。

・各種オプションの設定

    exposureProgram = 9
    iso = 100
    whiteBalance = "auto"
    _shutterVolume = 50

現在は、上記を指定できます。
必要に応じ、RICOH THETA API v2 Referenceを参照して値を設定してください。
といいつつおそらく上記の中では iso と _shutterVolume くらいしかいじらないと思います。

・_shutterVolume
0−100の間で指定します。0が無音です。

・iso
以下の値が使えます
100, 125, 160, 200, 250, 320, 400, 500, 640, 800, 1000, 1250, 1600

Fabric Engine 2 プラグインをMayaへ導入する

ふと気が付くとFabric Engine 2.0 がリリースされていたので、導入方法をメモしておきます。
やり方はほとんどバージョン1.15.3と変わらず。ライセンス入力あたりだけが大きく違います。

説明が急ぎ足なので、後で加筆修正するかも。


■Fabric Engine サイト

http://fabricengine.com/


■ダウンロードリンク

以前のようにEvaluation Lisenceのダウンロードリンクはありません。
ライセンスは後から取得し入力します。

FabricEngine-2.0.0-Windows-x86_64.zip
約500MB程度。ダウンロードを待ち、完了させます。


■解凍とコピー

ダウンロードが完了したら、zipファイルを解凍します。
解凍してできたフォルダ「FabricEngine-2.0.0-Windows-x86_64」は、C:\Program Filesの直下に置きました。


■ライセンスの取得

再びダウンロードページに戻り、ページ下部にある評価ライセンス請求フォームへ記入し、送信します。


送信が完了すると、ライセンスコードが表示されます。

このライセンスコードを保存しておき、あとでFabric Engineのライセンス登録フォームに記入します。


■Maya.envの編集

・以下を追加
MAYA_MODULE_PATH=C:\Program Files\FabricEngine-2.0.0-Windows-x86_64\DCCIntegrations\FabricMaya2014;


■Maya起動とプラグインのロード

ロードが完了すると、メニューに「Fabric」が追加されます。


■ライセンスの入力

ちょっと曖昧ですが、初回のプラグインロード時か初回のグラフ作成時にライセンス入力を求められるので、以前の手順で入手していたライセンスコードをコピーペーストして認証を完了させます。


 

■グラフを作ってみる

Fabricメニュ- → Create Graph

今バージョンから、メインで使用するノードタイプがcanvasNodeに変更されたようです。

Open Canvas ボタンを押します。

その他のノードベースツールで定番の操作、TABキーを押し、ノード名の一部を入力することでインテリセンスを使用して任意のノードを簡単に作成できます。

また、左右端のスライドバーをドラッグすると、ノード一覧が表示されます。
サブカテゴリを開き、キャンバス内にドラッグしてノードを追加できます。

ポートの追加は、左右の入出力ポードリストを右クリックし、Create Portを選択して行えます。

過去に作成したツールのご紹介

リンク

テクニカルアーティストを自称しているのに、あまりにも普段からツールネタが少ないのはどうかと思っていたところ、許可がいただけたので、自分がこれまで作ってきたツールの一部を載せてみたいと思います。

ご興味のある方はどうぞご覧ください。

 

Fabric Engine 1.15.3 プラグインをMayaへ導入する

Fabric Engine 1.15.3 を Maya 2014 64bit(EN) に導入するまでの手順を解説します。


インストール


 ・Fabric Engine公式サイトでファイルをダウンロード

 まずは、Fabric Engineのダウンロードです。
Fabric Engine公式サイトへ行きダウンロードします。

【Fabric Engine】http://fabricengine.com/

 今回は個人的に評価/研究のために使用するので、Evaluation ライセンスでダウンロードしました。


REQUEST LICENSEを押します。
すると、ユーザー情報の登録フォームページが開きます。


・ユーザー情報登録フォームに必要事項を入力

各項目を入力します。

First Name : 姓
Last Name : 名
E-Mail : メールアドレス
JOB Title : 役職
Company : 会社名
WebSite : 会社のWebサイトURL(個人であれば個人サイト)

Please tell us a little about what you
do and how you plan to use Fabric Engine.

Fabric Engineを使用する目的を簡単に記入します。

入力が終わったらSUBMITを押します。
すると、ダウンロードページが開きます。


・ダウンロードページ

使用するOSのブロックにあるDOWNLOADボタンを押し、ダウンロードを開始します。

※当方はWindows版を使用するので、Windows環境での解説をします。


・ファイルの解凍と配置

 ダウンロードした「FabricEngine-1.15.3-Windows-x86_64.zip」を解凍します。
解凍して出来たフォルダ「FabricEngine-1.15.3-Windows-x86_64」を任意の場所へ移動します。
今回は、分かりやすい C:\Program Files 直下に移動する事にしました。


・Maya.envを編集しモジュールパスを通す

Maya.envファイルはMaya2014の場合、以下のパスにあります。

C:\Users\USER_NAME\Documents\maya\2014-x64\Maya.env

上記.envファイルをテキストエディタで開き、以下の行を追加します

MAYA_MODULE_PATH=C:\Program Files\FabricEngine-1.15.3-Windows-x86_64\SpliceIntegrations\FabricSpliceMaya2014SP3;

※各パスは各々の環境に合わせて適宜書き換えてください。
※当方の環境はMaya2014ですので、FabricSpliceMaya2014SP3にします
※良いエディタがない場合、ワードパッドは使わずメモ帳を使用すると安心です。


・MayaにFabric Engine(FabricSpliceMaya.mll)をロードする

 Mayaを起動し、Plugin Managerを開きます。
前の手順でMaya.envに追記された「MAYA_MODULE_PATH」で示されるパスの中にFabricSpliceMaya.mll があることを確認し、Loadedにチェックを入れます。問題なくチェックできればロード完了です。
必要に応じてAuto Loadをチェックしておくと、次回以降のMaya起動時に自動ロードされるようになり便利です。

 緑色の i ボタンを押し、プラグインにより追加されたノードやコマンドを確認してみます。

 以上でMayaへのFabric Engineの導入は完了です。


・ノードを作ってみる

 試しに、Mayaで以下のPythonコードを実行してみます。

import maya.cmds as cmds
cmds.createNode("spliceMayaNode")

 Maya起動後の初回ノード作成時は、Fabric Engineのシステムをロードするためか、実際にノードが作成されるまで結構時間がかかります。

 先ほど作成したspliceMayaNodeノードをアトリビュートエディターで表示してみました。

 実際にコードを編集する際は、Open Splice Editor ボタンで開くSplice Editorを使用することになります。

 具体的な使い方やTIPSは追々勉強しながら書いていこうと思います。

書籍「マイクロインタラクション ―UI/UXデザインの神が宿る細部」

良いツールの要素とはなんだろうと考えた時、第一に安定性や機能の豊富さ等が挙げられると思いますが、それと同程度以上に必要な要素とは、ユーザにとっての使い易さやわかり易さなのではないかと思います。

ツールに含まれる動作一つをマイクロインタラクションと呼びます。
マイクロインタラクションは、トリガールールフィードバックループとモードの4ステップに分割して考えることができます。

トリガー : 動作が起こるきっかけ
ルール : 動作内容
フィードバック : ルールにより引き起こされる反応
ループとモード : ルールの長期的な動作

本書では、ツール設計の際、いかに良いマイクロインタラクションを設計し、ユーザーフレンドリーなツールをつくり上げるかに焦点を当てながら、既存のWebサイトやソフトウェアからGUIを抜粋し具体例として挙げ、それらの良い点と悪い点を考察します。

ツールを作るとき、理解しやすく使いやすいツールにしたいと考えるけれど、その方法に明確な指標を持てておらず、結果的にユーザの操作に対して反応がぎこちなく、分かりにくいツールになってしまう悩みを持っているような方には特にお勧めしたい一冊です。